In vitroにおいて、研究分担者である里村らが樹立した骨髄間質細胞からシュワン細胞への分化誘導をおこなった。つまり、骨髄間質細胞を1mMβ-メルカプトエタノール(無血清)にて24時間処理し、その後10%FBSおよび35ng/mlレチノイン酸を含んだαMEM培地で3日間培養し、最後に5μM forskolin、10ng/ml basic-FGF、5ng/ml血小板由来成長因子-AAおよび200ng/ml heregulin-β1を同時に培地に加えることによって5日間培養をおこなうことにより骨髄間質細胞からシュワン細胞へと分化誘導をおこなった。その結果、形態学的にシュワン細胞に変化するものも見られたが、シュワン細胞に分化する確率は低いものであった。現在、β-メルカプトエタノール、レチノイン酸、forskolin、basic-FGF、血小板由来成長因子-AA、heregulin-β1の至適濃度、処理時間を変化させ効率的な分化誘導条件について検討中である。これまで、骨髄間質細胞から神経細胞への分化誘導を行ってきた経緯から、血小板由来成長因子-AA添加の必要性についても検討中である。今後は高確率で骨髄間質細胞からシュワン細胞へと分化誘導できる方法を確立し、免疫組織学的に確認をおこなった後、in vivoの実験系へと展開していく予定である。
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