研究概要 |
ウサギを使用してサイナスリフトを行い、炭酸アパタイト顆粒の移植実験を行なった。日本白色ウサギ10週齢、体重3.5-4.0Kgを用いた。上顎洞底挙上モデルは、Watanabe らの方法に準じて作製した(Watanabe K, Niimi A, Ueda M: Autogenous bone grafts in the rabbit maxillary sinus. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod. 88(1):26-32, 1999)。洞粘膜を挙上してできたスペースに炭酸アパタイト顆粒(粒径300-500μm)を充填し、術後2週、4週、12週後に顎骨を含めて試料を摘出した。対照として、β-TCPとハイドロキシアパタイト(HAP)を使用した。 摘出した試料は、まず、マイクロCTと骨梁構造解析装置を用いて、骨形成量と炭酸アパタイトの骨置換を定量的に解析した。試料を固定後、テクノビット樹脂に包埋して、非脱灰切片を作製した。骨の新生速度は、テトラサイクリン、カルセイン、キシレノールオレンジなどの骨ラベリング法にて検討した。 組織写真では、顆粒周囲に新生骨の形成が認められた。炭酸アパタイトは粒径の類円形の変化が認められた。β-TCPは顆粒の形態は吸収による形態変化が著明であった。HAPは顆粒の形態変化はほとんど認められなかった。本研究から、炭酸アパタイトは骨置換性と吸収性にすぐれ、サイナスリフトの補填剤として有用であることが明らかとなった。
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