研究課題/領域番号 |
22592262
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
椙山 加綱 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50124772)
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研究分担者 |
真鍋 庸三 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90248550)
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キーワード | 気管チューブ / 呼吸音 / 片肺挿管 / 偶発的脱管 / 低酸素血症 |
研究概要 |
一般に口腔顎顔面領域の手術では確実な気道確保のために気管挿管が行われる。しかし、手術中の頭位変化、開口器の装着、舌圧子の挿入などにより気管チューブが深く挿入されるとチューブの先端が気管分岐部を越えて片肺挿管になる危険性がある。このような術中の片肺挿管を知る方法として聴診器による呼吸音の聴取が最も一般的に行われているが、呼吸音が均等に聴取されたにもかかわらず、実際には片肺挿管になっていたとの報告もあり、気管チューブの位置決定における呼吸音の変化については疑問が残されている。そこで、われわれは、呼吸音の変化は気管チューブ先端の形状により異なるのではないかとの仮説を立て呼吸音変化時の気管チューブ先端の位置について気管支ファイバースコープを用いて検索した。 全身麻酔下経鼻挿管にて口腔顎顔面外科手術を予定された成人患者を対象として、マーフィーアイの設置していない気管チューブ(Portex Blue Line tube)とマーフィーアイが両側に対照的に設置してある気管チューブ(ParkerFlex-Tip tube)について呼吸音変化時と呼吸音消失時における気管チューブ先端の位置を比較した。 その結果、Portexチューブでは、チューブ先端が気管分岐部を越えて右側主気管支に1.5±0.4cm挿入されたときに呼吸音が変化し、3.2±0.3cm挿入されたときに呼吸音が消失した。一方、Parker Flex-Tip tubeチューブでは、チューブ先端が右側主気管支に1.6士0.6cm挿入されたときに呼吸音が変化し、3.6土0.5cm挿入されたときに呼吸音が消失した。このことから両側対称的にマーフィーアイの設置してあるチューブでは両側対称的なマーフィーアイが半分近く気管支に挿入された時点で呼吸音が変化し、カフが気管支に楔入された時点で呼吸音が消失することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年はベベルと反対側にマーフィーアイが一つ設置されている気管チューブについて検討したが、今年度は当初の計画通り左右両側対称的にマーフィーアイが2個設置されている気管チューブについて検討した。Parker Flex-Tip tubeと呼吸音変化との関連については未だ研究報告がなく貴重なデータが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当初の計画通り、口蓋形成術を予定された1歳から2歳の幼児を対象として、気管チューブの先端にマーフィーアイが設置されていないチューブと気管チューブの先端の両側にマーフィーアイが設置されているチューブについて、呼吸音が変化する時点および呼吸音が消失する時点の気管チューブ先端の位置について検討する予定である。
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