研究課題/領域番号 |
22592264
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
大井 良之 日本大学, 歯学部, 教授 (60271342)
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研究分担者 |
小林 真之 日本大学, 歯学部, 准教授 (00300830)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | propofol / pain / insular cortex / GABA(A) receptor / IPSC / whole-cell patch-clamp |
研究概要 |
Propofolは,調節性に優れた静脈麻酔薬であり,GABA(A)受容体に作用し,抑制性シナプス伝達効率を増加させることにより,その鎮静効果を発揮することが知られている。一方,propofolの鎮痛作用については未だ定説を見ない。 大脳皮質は,興奮性細胞である錐体細胞と十数種類の抑制性介在ニューロンで構成され,さらに,抑制性介在ニューロンの種類によりGABA(A)受容体のサブタイプ構成が異なることが報告されている。このことから,propofolの効果は,ターゲットとなるニューロンの種類により異なる可能性が考えられる。そこで本研究は,痛みの高次中枢であると考えられている大脳皮質島領野(島皮質)において,シナプス結合を有する複数のニューロンから同時ホールセル記録を行い,抑制性シナプス伝達に対するpropofolの効果について,ニューロンの組み合わせに着目し,単一シナプス応答性抑制性シナプス後電流(uIPSC)の解析を行ない,以下の結果を得た。①propofolは,シナプス前細胞がfast spiking細胞(FS)またはnon-FS,シナプス後細胞がFS,non-FSまたは錐体細胞(Pyr)のシナプスに対して,シナプス後細胞のGABA(A)受容体に作用してuIPSCの持続時間を延長させた。②このpropofolによるuIPSC増強効果は,シナプス前細胞がFSと比較してnon-FSの場合に小であった。③島皮質のうち,痛覚に関与しているといわれている無顆粒皮質(AI)は他の皮質と異なり,FSが少なくnon-FSが多い特殊な構造であった。以上の結果から,propofolによる抑制性シナプス伝達効率増加作用は,他の皮質と比較して高次痛覚中枢であるAIにおいて弱いことにより,その鎮痛作用は弱い可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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