研究概要 |
マウス一過性局所脳虚血モデルを用いて、リドカインの脳保護作用について研究を行った。リドカインおよびPBSを虚血操作30分前に腹腔内投与し、30分間の虚血再灌流5日後に2,3%TTC染色により比較し、リドカイン投与群で梗塞巣の減少効果が確認された。免疫組織化学染色により、梗塞部位とペナンブラにおけるMAP-2、GFAP、Caspase3、nestin陽性細胞の発現を検討した。その結果、リドカインを虚血操作前に投与することにより、PBS投与群と比較し梗塞部位、ペナンブラ領域においてnestin陽性細胞が多く発現することが明らかとなった。リドカインと比較しPBS投与群においてCaspase3の発現が多く認められた。さらにアストロサイトのマーカーであるGFAP陽性細胞はリドカイン投与群のペナンブラ領域で強く発現し、GFAP陽性細胞の多くはnestin陽性細胞であり、反応性グリア細胞であった。 これらの結果から、脳虚血再灌流傷害に対するリドカインの脳保護効果の一因として内在性神経幹細胞による神経再生機転の亢進が示唆された。
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