実験1 「幼少期からの咬合の不調和が成長後SCNにおける時計遺伝子発現に与える影響」生後3か月のBALB/c-bm/bmマウスについて、基礎分泌(サーカディアンリズム)を制御するSCNにおける時計遺伝子Per1の発現量をin situ hybridyzationにより測定し、対照群と比較した。その結果、BALB/c-bm/bmマウスの時計遺伝子Per1の発現量は対照群と比較して有意に少なかった。 実験2 「幼少期からの咬合の不調和が行動発現に与える影響」生後3か月のBALB/c-bm/bmマウスの行動(明期の睡眠と暗期の摂食行動)を定量化し、対照群と比較した。その結果 BALB/c-bm/bmマウスの行動は明期と暗期の違いが明確でなく、睡眠と摂食行動は1日の中でばらついていた。 以上の研究結果より以下のことが示唆される。1.不正咬合発症マウス群は出生後しばらくの間、成長ホルモン量及IGF-I分泌量が少なく、また不正咬合のため、体重、摂食量が少ないと考えられる。2.不正咬合発症マウスは海馬glucocorticoidreceptorのdown-regulationが起こっており、そのためHPA axis negative feedback機能が十分に機能していないことが考えられる。3.幼少期からの咬合の不調和により、サーカディアンリズムの変調をきたしており、その原因として、咀嚼障害が考えられる。4.幼少期からの咬合の不調和による咀嚼障害により、規則的な摂食行動のリズムが失われていることを示唆している
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