研究概要 |
治療上の理由から抜歯に至った乳歯および永久歯のうち,患者と保護者が廃棄処分を希望したものを試料として用いた.歯冠を3分割しマイクロカッターにて1mm厚にて切出し加工を行った.作製中はin vivoを想定し湿潤状態を維持した.耐水研磨紙(#400~1000)と粒度3μmのダイヤモンドで研磨後,0.04μmのコロイダルシリカにて琢磨し表面状態を向上させた. 押込荷重P=1.96,2.94,4.90(N),負荷時間30秒,除荷後90秒経過後の計測条件設定にて微小硬さの計測を行った.試験片ごとに各荷重を2~5回測定し,部位ごとの平均値により測定値とした. 共焦点レーザー顕微鏡にてindentation area全体の組織観察および破壊様式の評価を行った.一般的にクラックはPalmqvist crack (pc), Median crack (mc), Lateral crack (lc)に分類されるが,pcとmcは試料表面のクラックが同一に観察されるため識別不可能となることが予想されたため,本研究ではPoclの場合はpc,Poc-c^<3/2>の場合はmcとして評価を行った(Pは押し込み荷重,1はpcのクラック長さ,cはmcのクラック長さの1/2) 破壊靭性値の算出式には寸法的制限や組織学的特徴を考慮し,乳歯と永久歯の両方に適用可能なものを検索し,Lewisらの式を用いた.平成23年度は微小硬さや算出された破壊靭性値を含む力学的挙動の検索および共焦点レーザー顕微鏡による破壊様式の評価を継続し,in vivoを想定した正確なデータを得るために,これらの反復実験を行いデータを収集した.
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