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本研究の目的は、顎変形症(偏位咬合)患者の成長期における偏位増悪の有無を明らかにすることである。すなわち、偏位咬合を上下顎骨の形態、位置関係からパターン分けし、各パターンにおいて習慣性咀嚼という負荷により上下顎骨の偏位状態が増悪するか否かを、骨リモデリングをシミュレーションすることにより明らかにしようとするものである。
具体的な本年度の研究実施計画は、被験者の選択と被験者の画像データより、上下顎骨の形態、位置関係から偏位咬合のパターン分けを行うことであった。顎変形症偏位咬合と診断され、顎骨の精査のために撮影されたCT画像データを三次元再構築し、左右の眼窩を基準としてパターン分けを行った。この結果、顎変形症偏位咬合の場合には、程度に差はあるものの、上顎骨から左右の非対称性が認められることが明らかとなった。また、下顎骨については、主に下顎単独で大きく偏位している症例、上顎の偏位の程度が下顎でさらに強くなっている症例が認められることが明らかとなった。これらの偏位パターンと咀嚼による付加との関連について検討するため、咀嚼筋の厚みから咬合面に加わる負荷を算出し、三次元有限要素解析を行った。その結果、顎骨における咀嚼に対する応力分布に非対称性が認められ、咀嚼という習慣性の負荷が顎骨形態に影響を及ぼしている可能性が示唆された。この結果、今後の骨リモデリングシミュレーションにより、顎骨の偏位の増悪するパターンを明らかにできると推察される。
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