研究課題/領域番号 |
22592282
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
越知 佳奈子 新潟大学, 医歯学系, 助教 (60397122)
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研究分担者 |
齋藤 功 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90205633)
齊藤 力 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80103357)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 顎変形症 / 診断 / 画像認知工学 / オントロジー / 歯学 / 三次元形態分析 |
研究概要 |
顎変形症に認められる顎顔面の形態異常は、その構成要素の変位と変形の複雑な組み合わせにより生じている。本研究の目的は、画像認知工学を応用して顎顔面構造の客観的評価方法を開発するとともに、過去の治療結果をデータベース化して再利用するための適切な診断支援ツールの基盤を構築することである。 本年度は顎顔面形態の客観的評価を行うために、顎顔面構造のうち解剖学的指標点に乏しい歯槽部について引き続き研究を行った。これまで開発してきた歯列―歯槽部形態解析システムのコンピュータおよび開発ソフトウェアのバージョンアップに伴い、アルゴリズムを改良し、新システム上での動作環境を整えた。また、これまで開発してきた三次元座標系の設定方法の評価に加え、解剖学的指標点に依存しない座標系の設定方法を確立するために、歯槽部形態を画像認識的手法の一つである P形フーリエ記述子を応用することで歯槽部の輪郭線をパラメータ化することにより、歯槽部全体を定量化する新たな手法を開発した。P形フーリエ記述子を用いて歯槽部の輪郭線を精度良く再生することができた。これにより、複雑な歯列-歯槽部形態を少ないパラメータで全体的に定量化することが可能となった。またこれらを実際の症例に当てはめた場合、歯列の補償的変形が著しい症例においても、歯頸部から 2mm以上歯根側の歯槽部断面では歯列の変位の影響が少なく、本来の歯槽部の形態が明瞭化することが示された。 さらに、本年度上記の形態評価と並行して、診断支援ツールの知識データベースを担う、顎変形症オントロジーの構築に取り組んでいる。オントロジーの構築ツールとして「法造」を用いてきた。ツールの操作法については今まで文献を参考にして行ってきたが、本年度は講習会に参加する機会を得たので、ツールの操作法や、現在のオントロジー構築について指導を受けることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度1年間、産児、育児休暇のため研究に取り組むことができず、今年度から研究を再開した。復職と研究開始が同時であったため研究をすぐに軌道にのせることが困難であり、研究全体の進行が遅れてしまった。 三次元形態の分析については、当初,顎顔面形態の上位構造である顎や頭蓋に分析を広げていく方針であったが、本研究の目的の一つが顎顔面構造の変形に影響を受けない三次元座標設定と形態評価を行うことであるので、複雑な形態と解剖学的指標点に乏しい歯列ー歯槽部で、座標設定や評価手法を確立させることで、上位構造に同手法を当てはめることは可能と考える。本年度はこれまで形態の評価方法の開発に苦慮していたが、フーリエ記述子を用いた形態の定量化と類似度による輪郭線の開発できたことで研究も進行すると考える。 オントロジー構築については、構築に関する知識を文献のみで得ていたため、具体的な概念や意味関係の定義などで不明瞭な点が多く、作業がかなり困難であり、遂行状況が良好とは言えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
三次元形態の分析については、当初顎顔面形態の上位構造である顎や頭蓋に分析を広げていく方針であったが、本研究の目的は、顎顔面構造の変形に影響を受けない三次元座標設定と形態評価を行うことであるので、複雑な形態と解剖学的指標点に乏しい歯列ー歯槽部で、座標設定や評価手法を確立させることで、上位構造に同手法を当てはめることは可能と考える。本年度はこれまで形態の評価方法の開発に苦慮していたが、開発できたことで研究も進行すると考える。 オントロジー構築については、実質的な構築を研究代表者が行っており、分担者とディスカッションを行うまでの段階に至らなかった。次年度はオントロジー構築ツールの開発者の一員で、オントロジー研究の第一人者である古崎晃司氏に研究への協力を要請し、承諾を得たので構築自体が推進すると考える。
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