研究課題/領域番号 |
22592288
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
内田 玲子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (60380094)
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研究分担者 |
田中 栄二 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40273693)
堀内 信也 徳島大学, 病院, 助教 (70263861)
川合 暢彦 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (40437588)
木内 奈央 徳島大学, 病院, 助教 (30457329)
桂 智子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (70579002)
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キーワード | 創傷治癒 / 口蓋粘膜 / Smad3 / 瘢痕形成 / siRNA |
研究概要 |
口唇口蓋裂患者の上顎骨劣成長の原因となる、口蓋の創傷治癒過程における瘢痕形成のメカニズムの解明と、その抑制を遺伝子レベルで図ることを目的に、成長因子Transforming growth factor-β (TGF-β)とその細胞内シグナル分子であるSmad3に着目し、実験を行った。(1)Smad3ノックアウトマウス由来のfibrocyteを野生型マウスの口蓋創傷部に導入し、同部位のHE染色を行ったところ野生型マウスと比較して、筋繊維芽細胞への分化が抑制されていると同時に上皮化の促進がみられ、創傷部の粘膜による閉鎖が早期に生じていることが観察された。(2)Smad3を標的遺伝子としたsiRNAにおいてはコラーゲンゲルの収縮が抑制され、マクロファージ/単球の走化性因子であるMIP-1α、MCP-1の発現低下及びマクロファージ/単球数の減少も認められた。(3)Smad3を標的遺伝子としたsiRNAを野生型マウスの創傷部位に導入したところ、創傷治癒促進が認められた。(4)レーザー・ドップラー式血流画像化装置を用いて血流を測定したところ、瘢痕部位における血流量の低下が観察された。以上の実験結果より、創傷治癒過程においてTGF-β/Smad3シグナル経路が重要な役割を果たしていることが明らかとなってきた。Smad3を標的遺伝子としたsiRNA医薬品は、口蓋裂患者の口唇形成および口蓋形成術後の創部の瘢痕鈎縮に起因する、上顎骨の前方及び側方への成長抑制の防止に有効であると考えられた。今後はレンチウイルスを用いてSmad3ノックアウトマウスの口蓋に、Smad3を局所的に強制発現させ、創傷部における瘢痕形成の様相を観察していく予定である。
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