研究課題
小児の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の治療には、現在、アデノイド口蓋扁桃除去が第一選択とされるが、その治療結果は必ずしも良好なものでない(文献1)。一方、上顎骨側方急速拡大の有効性を示唆する報告があるものの、十分なエビデンスが得られているとは言えない(文献2)。これらの理由として、気道の閉塞部位にはばらつきがあり、その閉塞の原因が、必ずしもアデノイドや口蓋扁桃肥大だけではないことが考えられる。そこで、小児OSASについて、未だ確立されていない気道の通気障害部位の特定方法、ならびに歯科的対応による通気障害の治療予測モデルの作製方法の確立を目的に研究を行った。その結果、①流体シミュレーションは上気道通気障害の有無と障害部位の特定に有効であることが示された。②上顎急速拡大がこれまで考えられてきた以上に、鼻腔通気状態の改善に有効であることが示唆された。(第69回日本矯正歯科学会(大会優秀発表賞 受賞), 2010年 9月,横浜市)③鼻閉により、咽頭部の吸気時の陰圧が強くなり、気道収縮を起こしやすくなること、RMEにより鼻腔通気状態を改善することで吸気時の咽頭部の陰圧は軽減し、気道収縮が起きにくくなる可能性が示された。これら結果はRMEの小児OSASに対する作用機序の一要因として考えられるだけでなく、咽頭部に通気障害を認めても、原因は鼻腔にある可能性を示し、上気道全体の通気状態評価の有用性を示す結果と考えた。(第37回日本睡眠学会(ベストプレゼンテーション賞 受賞), 2012年 6月,横浜市)これらの結果は小児OSASについて、未だ確立されていない気道の通気障害部位の特定方法、ならびに歯科的対応による通気障害の治療予測モデルの作製方法の確立に有用なものと考える。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics
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