本研究では、矯正用ワイヤーと矯正用ブラケットの表面にプラズマビームイオン注入法を用いて DLC(Diamond-Like-Carbon)を成膜し、 DLC 膜がブラケット/アーチワイヤー間の摩擦特性に及ぼす影響を調べた。矯正用ワイヤー2 種類(Ni-Ti ワイヤー、ステンレス鋼ワイヤー)とステンレス鋼製ブラケットの表面に DLC をプラズマイオン注入法により成膜した。摩擦試験において、DLC を製膜したワイヤーとブラケットは、ともに非成膜試料と比較して有意に低い摩擦特性を示した。以上の結果から、矯正用装置の表面は、プラズマビームイオン注入法を用いた DLC成膜により表面改質が可能で、DLC 成膜は矯正治療中の歯の移動に有益であることが考えられた。
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