研究概要 |
抜歯した乳歯より歯根膜組織を採取し、human telomerase reverse transcriptase (hTERT)遺伝子を導入して不死化細胞株の樹立を行った。樹立の際Single cell cloningを行って均質で同一の細胞株を3 clone作成した。樹立した細胞株のうち1 cloneは歯根膜のマーカー遺伝子を発現し、また骨芽細胞および脂肪細胞への分化能を持つことから、間葉系幹細胞の形質を所有していると考えられた(Hasegawa et al., Int J Mol Med 26 (5): 701-705, 2010)。 さらにこの細胞株を使用して、歯周組織の恒常性維持機構・再生機構に関与すると考えられるstromal cell-derived factor-1 α (SDF-1)の発現調節機構について解析を行った。その結果、SDF-1 mRNAはfibroblast growth factor-2 (FGF-2)により発現が抑制され、transforming growth factor β1 (TGF-β1)により発現が促進された。FGF-2による抑制にはMAP kinase経路、PI3 kinase経路以外の細胞内シグナル経路を経由していることが示唆された。またTGF-β1による促進はALK5-Smad2経路を介していることを示した。さらに抑制型Smad7のsiRNAを導入することで、TGF-β1による促進を長時間維持することが可能となった(Hasegawa et al., Int J Mol Med, 30 (1): 35-40, 2012)。
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