研究概要 |
実験動物には、6週齢のWistar系雄性ラット45匹を用い、実験的歯の移動はラットの第一臼歯を10および50gの矯正力で7日間近心に牽引した。hPDL cellsには1.0, 2.0, 3.0および4.Og/cm2の圧迫力を24時間与えた。ラット破骨前駆細胞はCINCまたはMCP-1を添加して10日間培養を行い、TRAP染色とPit formation assayを行った。 In vivoにおいて10および50g群間に歯の移動量の計測では差は認められなかった。10g群ではセメント質の吸収は認められなかったが、50g群では7日目にセメント質の吸収と吸収窩におけるTRAP陽性破歯細胞の出現を認めた。また、50g群では10g群と比較してCINC-1陽性細胞、CXCR2陽性細胞およびMCP-1陽性細胞の増加を認めた。 In vitroにおいて、hPDLcellsのIL-8およびMCP-1の遺伝子発現量は、6時間をピークに加重依存的に増加し、それらの産生量は経時・加重依存的に増加した。ラット破骨前駆細胞においてCINC添加群ならびにMCP-1添加群はcontrol群と比較して、TRAP陽性細胞数は増加した。またPit formation assayにおいてCINCまたはMCP-1添加群は、象牙質吸収能の促進を多く認めた。 以上の結果から、IL-8(CINC)およびMCP-1は過度の矯正力により歯根膜細胞から多量に産生され、破歯細胞分化を促進することにより歯根吸収を発生させる可能性が示唆された。
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