研究課題/領域番号 |
22592303
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
岡藤 範正 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (50194379)
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研究分担者 |
中野 敬介 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (10325095)
富田 美穂子 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (00366329)
川上 敏行 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (80104892)
辻極 秀次 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70335628)
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キーワード | GFP / 骨髄幹細胞 / 移植 / 歯科矯正学 / 歯科矯正学 / メカニカルストレス / 細胞移動 |
研究概要 |
現在までに、歯科矯正学的牽引時における歯周組織の早期変化、ならびに骨髄幹細胞の生体内における動態と多分化能に関する研究を行ってきた。歯科矯正学的牽引側における歯周組織の変化では、牽引1時間以内で牽引則において歯根膜線維芽細胞および骨芽細胞にRunx2、Msx2、ALP蛋白の局在とシグナル増加を確認した。また、メカニカルストレスに伴う歯周組織の恒常性維持と細胞分化にHSPsが密接に関与していることを示した。骨髄幹細胞の歯牙および歯周組織構成細胞への分化能に関する研究では、GFPマウス骨髄細胞移植実験系において、骨髄幹細胞が骨芽細胞、破骨細胞、歯根膜線維芽細胞、および歯髄細胞に分化することを確認し、これらの前駆細胞となると考えられる骨髄由来幹細胞がおもにリモデリングの盛んな部位に生着することを示した。歯科矯正学的牽引時の歯根膜組織では、骨髄幹細胞が骨芽細胞や破骨細胞に分化誘導され、また歯根膜のリモデリングにも同幹細胞が強く関わっているとの結果から,歯牙牽引時における骨髄幹細胞の機能解明を行ったところ,メカニカルストレスによって積極的にリモデリングが行われている部位に多くの骨髄幹細胞が供給されることを実験的に確認した。先にも述べたように、骨髄幹細胞は歯牙組織及び歯周組織を形成する全ての細胞への分化能を有しており、骨髄幹細胞を用いた歯科矯正学的治療応用への可能性は現実味を帯びてきた。歯周組織刺激と幹細胞誘導との関係を詳細に検討すれば、効率的幹細胞の局所への誘導、歯周組織リモデリングの促進とそれに伴う「歯の移動」が可能になると考えられる。今回得られた結果は新規矯正学的治療法の開発に加え、外傷的ストレスを受けた組織の修復、再生を効果的治療法の開発にもつながると考えている。申請者らはさらに効果的な幹細胞誘導法を検索中である。 なお,2010~2011年に得られた結果は,2012年7月に行われる第17回ヨーロッパ血液学会(EHA)にて報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GFPトランスジェニックマウス由来骨髄移植マウスの作製、歯科矯正学的牽引モデルマウス(歯科矯正実験モデルマウス)の作製ともに成功し、これらの実験動物を用いて順調に実験を行っている。これまでの研究では矯正学的治療によって生じる歯周組織の変化と骨髄由来幹細胞の動態を詳細に検討することができた。また、歯周組織のリモデリングと外傷性ストレス時の組織修復や再生に関わる因子の検討を行い、骨髄由来細胞が傷害性刺激を受けた組織に多く分布している事を明らかにした。また、これらの研究成果は学術雑誌と国内外の学会発表で出版公表しており、実施計画の点からも公費研究としの観点からも順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画どおり、新規歯科矯正学的治療法の開発とその基礎になる研究を行う。これを実現するために、骨髄幹細胞の分化誘導法とその局所誘導法について検索をおこなっていく予定である。また、これらの技術の発展応用となる外傷による組織傷害の修復に関する新規治療法の可能性についても検討したい。
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