歯科矯正治療を短期間に効率よく遂行するためには固定源の確保がきわめて重要と考えられる。そこで生体内吸収性オンプラントを用い骨形成因子(BMP)と複合化させることにより骨表面に固定源を求め、安全で矯正治療後に生体内で吸収される除去が不要な新しい矯正歯科治療用の骨形成因子(BMP)複合吸収性骨膜下オンプラントの開発を本研究の目的とした。 平成22年度の研究業績として、粉砕豚骨より天然部分精製BMPの抽出を行い、生体吸収性高分子マテリアルとの各種複合化実験を行った。今回はその1つとして、自身の歯から抽出する脱灰歯牙基質(DDM)をBMPの複合マテリアルとして選択した。まず、DDM自体の生体親和性、骨修復能を調査する目的として、ウサギ膝関節部に直径5ミリ、深さ6.5ミリの欠損を作製し、DDMを填塞して、その修復能を検討した。その結果、DDMは優れた骨修復能と軟骨再性能を有し、BMPとの複合化材料としてきわめて有効であると示唆された。今後は、この高分子材料と吸収性オンプラントとの複合化、移植実験を行ってゆきたい。また、人へ応用部位として口蓋部への植立を考えており、その可能性を現状のミニスクリューを用いた方法によって検討する予定である。
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