研究課題/領域番号 |
22592306
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
松本 尚之 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (70199884)
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研究分担者 |
馬場 俊輔 大阪歯科大学, 歯学部附属病院, 教授 (40275227)
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キーワード | 人工コラーゲン / α-TCP / 生体吸収材料 / 歯周組織再生 / 歯槽骨再生 |
研究概要 |
成人歯科矯正治療において、歯の移動に伴って、牽引側の歯槽骨の吸収を引き起こし、顎裂部の骨欠損に対して骨再生が望まれる機会に遭遇することがある。このような歯槽骨の吸収や欠損に対して予防的に充填可能な骨補填材の開発は、臨床の場で要求されるものである。申請者らは、世界で唯一の人工合成で出来たコラーゲンと間葉系幹細胞の組み合わせによって、歯槽骨の吸収・欠損に対する歯科矯正の予備治療に応用可能な骨補填剤を開発するものである。 ブタ骨髄由来間葉系幹細胞(MSCs)を用いて、それらスポンジを足場として、ブタ頭蓋骨欠損に移植しその骨再生能の評価を行なった。実験にはメスのクラウン系ミニブタ3匹を使用し、細胞には自己より採取したMSCsを7日間骨系に分化誘導を行ったブタ骨芽細胞様細胞を用い移植直前にPoly(PHG)に播種し埋植物とした。移植実験にはPoly(PHG)を足場とした細胞群、Poly(PHG)のみの担体群、対照群として骨欠損のみの群を作製した。移植後6週、12週、18週で頭蓋骨を摘出しマイクロCTによる骨体積の定量的評価、組織学的な観察を行なった。骨体積量の評価、組織学的観察において移植後6週では3つの群間で著名な差は認められなかった。移植後12週において、骨体積量が細胞群で、対照群に比べて有意に高かった。また、移植後18週において、骨体積量が細胞群と担体群ともに対照群に比べて有意に高かった。さらに組織学な評価においても細胞群では欠損中央部にも新生骨が確認され、また担体群においても母床骨と連続する新生骨が確認された。移植後12週、18週において細胞群で最も新生骨形成が確認された理由として、新生骨形成の期間Poly(PHG)が足場として機能的に支持したと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨再生に優れた人工コラーゲンスポンジの作製方法を確立したため。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、人工コラーゲンが骨形成能を推進する理由を明らかにするためラットを用いた実験を行なう。また、臨床モデルとしてはイヌ下顎骨欠損モデルを用いることとする。
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