研究概要 |
本研究の目的は、歯周炎患者と関節リウマチ(RA)患者の全身および局所の単核細胞ゲノムを対象に、インターロイキン6(IL-6)遺伝子のゲノムメチル化の頻度とコードタンパク発現とを同時に解析して、2つの疾患の共通発症機序を解明することである。 本年度は第2段階として、IL-6遺伝子のゲノムメチル化強度を血液と歯肉組織局所とで比較することを目的とした。インフォームドコンセントが得られた歯周炎患者11名ならびに健常者2名を対象とした。 歯肉組織片および末梢静脈血からゲノムDNAを抽出した後にバイサルファイト処理を行い、IL-6遺伝子プロモーター領域のプライマーを用いてPCR増幅後、ダイレクトシークエンスにて塩基配列を解析した。 その結果、IL-6遺伝子プロモーター領域の計19のCpG部位のうち、両群とも9CpG部位(-1099 bp, -1096 bp, -1094 bp, -1069 bp, -1061 bp, -1057 bp -1001 bp, -491 bp, -227 bp)においてメチル化を検出した。歯周炎患者群では6部位(-1099 bp, -1094 bp, -1069 bp, -1001 bp, -491 bp, -227 bp)において血液と歯肉組織とでメチル化状態が異なっていた。-1099 bp ~-1001 bpの4部位のメチル化頻度が血清では100%であったのに対して、歯肉組織では非メチル化が一部認められた。一方、健常者群では2名ともすべてのCpGでのメチル化頻度は一致していた。 非メチル化によってIL-6遺伝子発現活性は高まりIL-6産生が促進されることから、今回の結果より、歯肉組織ではIL-6遺伝子の活性が高まり、その結果として、IL-6産生促進による炎症が惹起されている可能性が示唆された。
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