研究分担者 |
渡部 昌実 岡山大学, 岡山大学病院, 准教授 (70444677)
成石 浩司 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (00346446)
峯柴 淳二 岡山大学, 岡山大学病院, 講師 (00509383)
大森 一弘 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20549860)
高柴 正悟 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50226768)
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研究概要 |
正所性マウス前立腺がん転移モデル確立の準備のために正常マウスの歯周病細菌感染モデルを作成し,歯周病原性細菌Porphyromonas gingivalisの感染曝露の回数とマウス生体反応の局所・全身的影響を解析し,論文として発表した。(Journal of biological regulators and homeostatic agents, 25:195-202, 2011 歯周病感染のような,少量の持続的な感染をマウスで維持するのは困難であるため,一定量のP. gingivalisを複数回マウス右肢部皮下に接種し,慢性感染のモデルマウスとした。急性感染モデルとして1回のP. gingivalisの接種をしたもの,陰性対照としてPBSを接種するグループを設定した。最終接種日から14日までのマウスの生存率は,陰性対照群,慢性感染モデル,急性感染モデルの順に高かった。トータルのP. gingivalisの接種量が4倍であるにも関わらず,複数回接種を行った慢性感染モデルマウスのほうが,一回のみの接種であった急性感染モデルよりも生存率は高かった。また,組織学的検査でも接種局所の反応は,慢性感染モデルのマウスが炎症反応が高度であったのに比べ,遠隔組織である肝臓では逆に,急性感染モデルマウスの方が肝細胞の肥大化,血管新生などの炎症反応が高かった。血清中のIL-6濃度を測定したところ,急性感染モデルマウスでのIL-6濃度の上昇が一番高く,慢性感染モデルでは陰性対照との差が無かった。 以上のことから,慢性感染モデルマウスでは,曝露を繰り返すことにより,全身での炎症反応が低くなることが判明した。少量の感染を持続する歯周病感染の存在が,全身的な感染に帯する反応性を低下させていることが示唆された。
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