研究課題
癌の臓器転移に歯周病が関わるメカニズムとして,歯周病病巣におけるVEGF産生に注目している。歯周病の線維芽細胞においてIL-6がVEFG産生を引き起こすことはすでに報告済である。今年度は,caveolin-1に注目し,このインテグラルメンブレンプロテインが歯周病において,各種プロテアーゼとVEGFの分泌を増強することを明らかにした。免疫組織学的にcaveolin-1が歯周病巣組織に多数発現していることを明らかにした。次に培養したヒト歯肉線維芽細胞(HGF)ヒト歯根膜細胞(HPLF)におけるcaveolin-1の産生をIL-1βもしくはTNF-αで刺激し,RT-PCRによるメッセンジャーレベル,ウェスタンブロットによるタンパク質レベルで比較したところ,共にcaveolin-1の産生が増強された。また逆に遊離caveolin-1を用いてHGFを刺激するとproMMP-1,VEGFの産生が増強された。VEGFはJNKのリン酸化を通じて亢進されていた。ProMMP-1はJNKのリン酸化,ERKのリン酸化により亢進していた。caveolin-1は炎症局所においてHGF,HPLFで産生量がふえ,遊離したcaveolin-1自体がHGF,HPLFに作用しMMP-1,MMP10,MMP-14等炎症にかかほるプロテアーゼやVEGFの産生をふやし,局所組織の分解,血管新生に関わっていることが示唆された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013
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Biomedical Research
巻: 34 ページ: 1-11