研究課題/領域番号 |
22592319
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
小方 頼昌 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (90204065)
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研究分担者 |
中尾 寿美 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (20102577)
高井 英樹 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (30453898)
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キーワード | 歯周組織再生 / 細胞外マトリックス / 転写因子 / 骨シアロタンパク質 / 石灰化 / 骨芽細胞 / 発現調節 / 遺伝子プロモーター |
研究概要 |
骨芽細胞様細胞(ROSl7/2.8)を、0.01または0.1μg/mlのP.gingivalis(P.g.)およびA.actinomycetemcomitans(A.a.)LPSで刺激後、骨シアロタンパク質(BSP)のmRNA量の変化をノーザンプロットで検索した。0.01μg/mlのP.g.およびA.a.LPSはBSPmRNA量を経時的に増加させ、0.1μg/mlのP.g.およびA.α LPSはBSPmRNA量を減少させた。ルシフェラーゼアッセイにてBSPの転写に対する両LPSの影響を検索し、BSP遺伝子プロモーターと核内タンパク質との結合をゲルシフトアッセイで検索した。ルシフェラーゼアッセイの結果、0.01μg/mlのP.g.LPSは、pLUC3(-116~+60)の転写活性のみを上昇させた。一方、0.01μ9/mlのA.a LPSは、pLUC3、pLUC4(-424~+60)、pLUC5(-801~+60塩基対)の転写活性を上昇させた。0.1μg/mlのP.g.およびA.a LPSは、pLUC3、pLUC4、pLUC5の転写活性を減少させた。0.01および0.1μg/mlのA.a LPSによるpLUC3の転写活性の上昇と減少は、チロシンリン酸化、ERK1/2、PI3キナーゼ、活性酸素阻害剤で抑制された。0.01および0.1μg/mlのP.g. LPSによるpLUC3の転写活性の上昇と減少は、チロシンリン酸化、ERK1/2および活性酸素阻害剤で抑制された。0.01と0.1μg/mlのP.g. LPSは、CREおよびFRE配列と核内タンパク質との結合を経時的に増加または減少させた。0.01と0.1μg/mlのA.a LPSは、CRE、FRE、HOX配列に対する核内タンパク質の結合を経時的に増加または減少させた。 以上の結果、0.01Fg/mlのP.g. LPSとA.a. LPSは、BSPの遺伝子発現を増加させ、0.1μg/mlのP.g. LPSとA.a. LPSは、BSPの遺伝子発現を減少させた。また、両LPSの効果は同一ではなく、異なる細胞内情報伝達系を介してBSPの遺伝子発現を調節すると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
石灰化組織特異的に発現する骨シアロタンパク質(BSP)に対するサイトカイン、成長因子および歯周病誘発因子(LPS等)の効果を検索し、良好な結果が得られており、下記に示す様な学会発表および論文の発表を行った。以上の結果は、歯周病による骨吸収およびその後の歯周組織再生にとって有用な情報源となると考えられることから、研究は"おおむね順調に進展している"と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度が最終年度であるため、歯周組織再生を制御する細胞外マトリックスの中でBSPに焦点を絞り、骨芽細胞の分化に重要と考えられる転写因子との関係を検索したいと考える。研究は順調であり、問題は無いと考える。
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