歯周病進行の危険度を予測する診断用アレイの開発には、微量かつ分解され易い細菌RNAの中で、細菌の病原性発現に関連性高く、分解されにくいとされる細菌small non-coding RNAが、新たな診断プローブとして有用である。本研究は、高速シークエンサーによるnon-coding RNAの網羅的解析からカタログ化を目指した。P. gingivalis W83株を口腔内で起こりえる様々なストレスを負荷し、全RNAを抽出・混合し、rRNAとtRNAを除去することで、mRNA-およびnon-coding RNA- rich試料を作成し、試料に存在する全てのRNAの塩基配列を網羅的に解析した。得られた塩基配列をバブリックデータベースのW83株の染色体DNA上の塩基配列に対応させ、高速シークエンサーで得られた塩基配列の染色体上での位置とその数量を解析した。また、その配列がnon-coding RNAである可能性を探るため、様々な細菌を含めたnon-coding RNA 予測が可能なSanger Institute データベース Rfam と口腔内細菌に特化しnon-coding RNA の独自予測を行っている Los Alamos のOral pathogens non-coding small RNA predictionに照合し、得られたNon-coding RNA データをゲノム上にマッピングすることで、既知のNon-coding RNAの発現量、および新規のNon-coding RNAの塩基配列と発現量を解析した。その結果、Los Alamosで予測したNon-coding RNA(650種)の塩基配列の70%以上カバーする配列が438種見つかった。一方、Cufflinksを用いて発現量を算出した結果、全く発現が認められないものが262種認められた。
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