研究課題/領域番号 |
22592323
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
堂前 尚親 大阪歯科大学, 歯学部, 名誉教授 (60115889)
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研究分担者 |
上田 雅俊 大阪歯科大学, 歯学部, 名誉教授 (00067117)
神原 正樹 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (90103085)
長野 豊 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (80228048)
宮前 雅見 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (20298821)
三宅 達郎 大阪歯科大学, 歯学部, 准教授 (40200141)
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キーワード | 歯周病 / 動脈硬化 / 虚血性心疾患 / 11β-HSD1 |
研究概要 |
歯周病は糖尿病の合併症の1つとして、また動脈硬化の危険因子として、全身疾患と密接に関連することが明らかにされている。成人における歯周病の罹患率は著しく高く、その予防や早期発見が重要であることは、言うまでもない。歯周病は慢性炎症性疾患であるという点で動脈硬化と類似しており、この点に注目して全身疾患との関連性の解明を進めているが、本年度は歯周病患者を対象として、治療による歯周状態の改善を反映する全身的なバイオマーカーを同定することを目的とした研究を行い、以下のような成果を得た。 大阪歯科大学附属病院を受診し、本研究への参加に同意が得られた歯周病患者に対して、歯周基本治療の前、終了直後、終了後3か月の計3回、口腔内診査のほか、血液検査を行った。 比較対象として、歯周基本治療が終了して経過観察中の患者の経過を同様の方法で観察した。 歯周治療により、出血部位、歯周ポケットの深さの平均値、4mm以上の歯周ポケットの割合のいずれにも、治療終了直後から顕著な改善が見られ、終了3か月後でも効果は持続していた。治療前後計3回の血液検査から得られた検体を用いて、動脈硬化に関わるとされる各種のサイトカインや接着分子の変化を調べたところ、治療終了3か月後の時点で、白血球数、VCAM-1、E-セレクチン、IL-18、MMP-9など、炎症の過程に関わる諸分子が有意に減少していた。経過観察をしている対象者では、このような変化が見られなかった。 以上、歯周基本治療によって、炎症反応や動脈硬化病変の形成に関わる複数の指標に改善がみられることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は順調に進んでおり、現在の達成度は75%程度である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である本年度は、これまで2年間に得られた成果を踏まえ、歯周病と動脈硬化症を直接結びつける因子を解明することと、歯周治療が血管機能にどういう影響を及ぼすかについて注目して研究を進め、当初の研究目的を達成したいと考えている。
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