平成22年度は、Mechanical stress付与によりオキシタラン線維上のLTBP-2・fibulin-5複合体からLTBP-2が遊離することを生化学的および形態学的に解析した。歯根膜由来線維芽細胞を細胞伸展装置(ST-1400、ストレックス社)にて1/10Hz(6cycles/min)の伸展刺激を付与した。免疫沈降法によりLTBP-2・fibulin-5複合体が非伸展時にオキシタラン線維上に存在していることを確認した。伸展力を付与するとLTBP-2の80%が培地中に遊離することが培養細胞層と培地のWestern blotと免疫染色により明らかとなった。更に、培養細胞層を細胞膜非貫通性(水溶性)のビオチンでラベル後、アビジン・ビーズで回収し、尿素で溶出させ分析を行ったところ、遊離したLTBP-2は細胞外基質で、細胞内のLTBP-2は変化しないことが明らかとなった。しかし、一定量のLTBP-2は伸展時にも培養細胞層に存在することから、siRNAによりLTBP-2の発現を抑制したところ、一定量の抑制を行うとオキシタラン線維の凝集が抑制された。すなわち、オキシタラン線維の凝集には一定量のLTBP-2はfibulin-5と複合体を形成しオキシタラン線維上に存在することが必要条件であることが示された。以上の結果よりオキシタラン線維上にはLTBP-2・fibulir5複合体が形成され、機能的な(生体でみられる)太さと方向性を有するオキシタラン線維の構築が行われるには、LTBP-2が伸展刺激により一定量遊離する必要があることが示唆された。
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