平成24年度は、前年度までの結果を踏まえてオキシタラン線維上の複合体 (LTBP-2・fibulin-5) のより詳細な至適量の同定を行った。歯根膜由来線維芽細胞を細胞伸展装置(ST-1400、ストレックス社)にて 1/10Hz (6 cycles/min) の伸展刺激を付与し免疫沈降法によりFibulin-5とLTBP-2の結合を確認し、細胞伸展刺激により結合しているfibulin-5 中のLTBP-2 の量が約60%減少していることがこれまでに明らかになった。また、細胞伸展によりLTBP-2の発現は変化せず、細胞伸展により培養細胞層におけるLTBP-2は70%減少した。siRNAによりLTBP-2の発現を抑制したところ抑制率によりオキシタラン線維の凝集に変化が生じた。すなわち、LTBP-2の95%の抑制によりオキシタラン線維の凝集が抑制されたのに対し、約40%の抑制時には対照群と同様にオキシタラン線維の凝集は生じた。これらのLTBP-2抑制時にはいずれも、fibulin-5はオキシタラン線維上に存在していた。以上の結果と、fibulin-5はオキシタラン線維の凝集を調節しているという我々の過去の報告から、細胞伸展刺激によりLTBP-2はfibulin-5のオキシタラン線維の凝集に果たす機能に対し負の調節を行っていることが明らかとなった。
|