研究課題/領域番号 |
22592334
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
河原 和子 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20034209)
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研究分担者 |
二川 浩樹 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10228140)
牧平 清超 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80304450)
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キーワード | 脳由来神経栄養因子 / 咀嚼 / 無味ガム / ELISA法 / ビーズ法 |
研究概要 |
肥満抑制の一端を歯科医療が担う新たな経路を見出したいと考え、糖や脂肪代謝への関与が指摘されている脳由来神経栄養因子BDNFに着目した。BDNFには血液に依る作用と神経シグナルとしての作用が想定され、咀嚼との関係では動物において、咀嚼が大脳海馬神経のBDNF発現を亢進することの他に、ストレス負荷時に生じる顎下腺導管上皮によるBDNF産生が木棒齧りでさらに亢進し、BDNF血中濃度上昇の主因であるとの報告がなされている。本年度は通常状況下での咀嚼刺激が、血液あるいは唾液中のBDNFレベルを増加させる可能性について、ボランティアを募って検討した(本学倫理委員会承認288)。被験者は19-30才の健康な男女25名で、咀嚼刺激群20名においては安静時、20分の無味ガム咀嚼時間の開始時と終了時の3時点で3分間唾液を採取した。このうちの11名では留置針を用いて、咀嚼開始前、咀嚼終了直後と終了後30分の3時点で血漿用採血管に採血した。対象群5名は咀嚼なしで前群と同じ時点で唾液と血液をサンプリングした。濃度測定にはELISAキット3lotsを使用したが、検量線でいずれも99%程度のr^2値が出るがその吸光度は低めで感度が低く、唾液では検出限界未満であった。新たなBDNF測定法を検討し、検出抗体結合ビーズを使用し、同時に多項目測定が可能で感度も高いといわれるマルチプレックス分析機による測定を実施した。血漿サンプルではELISAに比べ高い濃度を示しvariationは大であった。唾液サンプルでは2.5-10.0pg/mlの濃度が示された。両サンプルとも3時点における濃度は一定した変化傾向を示さなかったが、個人ごとの3時点の値は似たレベルを示した。また安静に過した非咀嚼被験者の血漿濃度にも3時点間で変動がみられたことから、血漿BDNFレベルは個人差が大きく、潜在的な変動要因の影響も考えられた。
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