研究概要 |
舌痛を伴う疾患の実態を知る目的に舌痛を主訴に来院した患者を臨床統計学的に検討した。その結果、年齢は、37歳1か月から83歳9か月までで,平均69歳4か月であった。性別は、男性7名(12.1%),女性51名(87.9%)であった。舌痛の原因疾患は、口腔カンジダ症30例(36.6%),口腔乾燥症17例(20.7%),舌痛症16例(19.5%),舌炎13例(15.9%)の順に多く,その他にSjogren症候群3例(3.6%),鉄欠乏性貧血2例(2.4%),悪性貧血1例(1.2%),舌咽神経痛1例(1.2%)が認められた。口腔カンジダ症の器質的変化については、白苔や紅斑などの器質的変化が認められるものが9例(30.0%),認められないものが21例(70.0%)であった。口腔乾燥症の自覚症状(口渇)を訴えるものが2例(11.8%),訴えないものが15例(88.2%)であった。 舌痛症を積極的に診断する方法として心拍間変異分析に着目した。舌痛症患者9例に対して、直線偏光近赤外線星状神経節近傍照射を10回行い、照射前後に心拍間変異分析を行った。年齢は、61歳から83歳9か月までで,平均72歳6か月であった。性別はすべて女性(9名)であった。直線偏光近赤外線星状神経節近傍照射の効果については、9例中7例で症状(舌痛)が緩解した(有効率:77.8%)。治療前半のVAS値は44.1,同じく後半は30.3で,その減少率は68.7%であった。治療前後の自律神経の活動性の変化はVAS値の変化と相関していた。
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