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2011 年度 実績報告書

プラーク細菌叢の網羅的解析結果を基盤にした成人齲蝕病因論の新たな進展

研究課題

研究課題/領域番号 22592337
研究機関九州大学

研究代表者

柴田 幸江  九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教 (30274476)

研究分担者 山下 喜久  九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (20192403)
キーワードう蝕 / デンタルプラーク / 細菌叢 / クローンライブラリー法 / Streptococcus mutans / アピストレップ20
研究概要

昨年度の研究に引き続き、今年度はまず初めに、被験者からのX属細菌種の分離同定を試みた。その結果、齲蝕経験のない群の被験者9名中7名よりX属12種、および齲蝕多発群の被験者8名中4名よりX属6種を分離した。分離したX属の菌種を明らかにするために、約1300bpの16S ribosomal RNA遺伝子断片の塩基配列を決定し、解析した。その結果、齲蝕経験のない群から分離したX属12種の内訳は、A菌種2個、B菌種10個、C菌種0個であった。一方、齲蝕多発群から分離したX属6種はすべてB菌種であった。昨年行った研究(ハイドロキシアパタイト上に形成されたプラークを培養を介さずにクローンライブラリー法を用いてX属の菌種を明らかにした)結果では、齲蝕経験のない群に存在するX属は9人の被験者のうち8人がA菌種のみであり、齲蝕多発群においては、10人中2人がA菌種のみであったが、他の8人は2菌種以上存在した。培養法による結果とクローンライブラリー法による結果には大きな相違が認められた。
次に、X属3菌種の標準株について、アピストレップ20同定キットを用いて生化学的性状を調べた。AとC菌種にはアセトイン産生能およびアルカリホスファターゼ活性が認められ、B菌種には両者とも認められなかった。また、A菌種のみピロリドニルアリルアミダーゼ活性が認められた。糖発酵試験では、C菌種のみがマンニトールおよびソルビトール発酵能を示した。同様の方法で被験者からの分離株の生化学的性状ならびに糖発酵能を調べた結果、若干の違いはあるもののすべての分離株が塩基配列解析から推定された菌種の特徴を示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2年間で齲蝕多発群と齲蝕経験のない群におけるX属の菌種の構成の違いを明らかにし、その生化学的性状を調べた。さらに、被験者からのX属細菌種の分離同定にも成功している。よって、当研究はおおむね順調に進展していると思われる。

今後の研究の推進方策

まず、X属細菌種について、更なる生化学的性状の解明および齲蝕原性細菌との競合性や相互作用の検証を行い、齲蝕抑制への関与について明らかにする。さらに、T-RFLPパターンを詳細に解析し、X属細菌種以外で成人齲蝕の促進ならびに抑制に関与している細菌種を同定し、X属細菌種の場合と同様に生化学的性状、齲蝕原性ならびに齲蝕細菌との相互作用を調べる。
今年度の研究で、X属細菌種の菌種構成について、培養法による結果とクローンライブラリー法による結果に大きな相違が認められた。しかしながら、これは方法が異なるだけでなく、サンプルについてもハイドロキシアパタイト上に形成されたプラーク(4日目)と歯面上に形成されたプラーク(形成日数は不定)という違いが存在する。今後は上記の結果の食い違いが何によるものか検証する必要があると思われる。

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公開日: 2013-06-26  

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