本年度は、ラット嚥下造影法の手技を確立することと、2次元運動解析ソフトのセットアップと操作テクニックの修得を目的に研究を行った。 雌ルイスラット(体重250g-300g)に造影剤入り検査食を摂取させ、X投透視装置(日立製medites3000)を用いて嚥下造影撮影を行った。撮影時にはケージ内に仕切りを設置し、ラットの方向を一定にしたうえで側面からX線照射を行い嚥下時の側面像をDVDに動画記録した。記録した動画をスローモーションで再生し、取り込み開始から食道通過終了までの食塊通過時間および咀嚼回数等を計測した。 実際の嚥下造影検査では、ラットが検査食を摂取しない場合が多く、様々な液体、固形物を用いて条件を変えながら検査を試みた。また、撮影時にラットのポジションを一定に保つ必要があり、ケージ内の間仕切りや検査食の固定法などに工夫が必要であった。 本年度の研究では、上記の撮影が可能であることを確認できたのと同時に、ラット嚥下造影撮影および動画記録のための様々な手技を試み、一定の安定した撮影方法が修得できた。さらに2次元運動解析ソフト(DIPP-Motion XD DITECT)をセットアップし、データ取り込みや分析を試みた。その結果、舌骨解析を行う上での問題点が明確になったと同時に、解析についてのテクニックを修得できた。これにより、次年度は2次元運動解析が可能となる見込みである。また、重症筋無力症ラットの作成についても文献、学会などでの情報を収集しており、数匹のラットに対して軽度な発症を確認できた。次年度は重症筋無力症ラットを用いた嚥下造影撮影を行い、舌骨運動解析を試みる予定である。
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