研究課題/領域番号 |
22592339
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
石飛 進吾 長崎大学, 大学病院, 講師 (60363454)
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研究分担者 |
本村 政勝 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (70244093)
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キーワード | ラット / 嚥下造影 / 2次元運動解析 / 重症筋無力症 |
研究概要 |
本年度は、重症筋無力症ラットの作成を行い、さらに健常ラットと重症筋無力症ラットの嚥下機能を比較するための具体的な実験手技を確立した。(1)重症筋無力症ラットの作成重症筋無力症の惹起性か・報告されているアセチルコリン受容体モノクロナル抗体、mAb35(150~320μg)をエーテル麻酔下に尾静脈から静注した。個体の大きさと抗体の投与量によって、重症筋無力症を発症する場合と発症しない場合があったが、ほぼ安定して重症筋無力症を発症させることに成功した。(2)実験手技の確立雌ルイスラット(体重270g-330g)に造影剤入り検査食を摂取させ、X投透視装置(日立製medites3000)を用いて嚥下造影撮影を行い、DVDに動画記録した。撮影時にはケージ内に仕切りを設置し、ラットの方向を一定にしたうえで側面からX線照射を行い嚥下時の側面像を記録した。また、検査食摂取を促す目的で嚥下造影撮影開始48時間前より絶飲食とした。検査食はラット飼育用飼料と100%硫酸バリウムを混合・乾燥させた固形食を用いた。記録した動画をスローモーションで再生し、取り込み開始から食道通過終了までの食塊通過時間および咀嚼回数を計測した。計測には1/100秒のビデオタイマー、30フレーム/秒のデジタルビデオテープを用いた。計測項目は、初回嚥下時間(食物の取り込み開始から初回嚥下開始までに要した時間)、連続嚥下時間(連続する2回の嚥下動作において嚥下開始から次の嚥下開始までに要した時間)、咽頭・食道通過時間(嚥下開始から食塊が胃に達するまでに要した時間)、ならびに連続嚥下時間における咀嚼回数とした。なお、連続嚥下時問および咀嚼回数ならびに咽頭・食道通過時間に関しては異なる摂食・嚥下動作3回の平均値を用いた。また、嚥下後の咽頭・食道残留の有無を評価した。上記の手技により、健常ラットと重症筋無力症ラット等の嚥下造影による嚥下機能の比較および分析が可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラットの嚥下造影手技に関して詳細な方法を確立することができたうえ、重症筋無力症ラットの作成に成功したこことは、本研究を進めるうえでの最重要課題を達成できたものと言える。また今年度は健常ラットのデータが確保できており、達成度としては概ね順調と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はまず重症筋無力症ラットの嚥下造影を進め、健常ラットのデータとの比較検討を行う。またその結果を論文発表することで、本研究のテーマであるラット嚥下造影の確立を達成する予定である。同時に脳梗塞ラットや廃用症候群ラットの作成に取り組み、健常ラットとの比較検討およびリハビリ効果の検討を行う予定である。
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