プロフェッショナリズムは、2007年にダブリンで開催されたGlobal Congress on Dental Education(欧州歯科学教育学会誌に2008年掲載)において議論され、その後欧州圏や米国圏における歯学教育のコンピテンスのDomain(大項目)としてあげられている。しかしながら日本の歯学教育では「プロフェッショナリズム」についての議論はこれまでほとんどなされていなかった。このような背景から、本研究の目的は、グローバルスタンダードとしてのプロフェッショナリズムとは何か、文化的相違の有無や医学・歯学における相違の有無を調査するとともに、国内歯学部での教育カリキュラムにどのような形で存在するかを調査し、将来的にシンポジウムを開催することにある。 その結果、プロフェッショナリズム教育を単独科目として扱う歯学部はほとんど無く、他の科目と関連して教えている歯学部が多いことがかった。 また、日本医学教育学会倫理・プロフェッショナリズム委員会が出した提言「医師養成課程におけるプロフェッショナリズム教育の導入と具体化」(平成22年)では、プロフェッショナリズム教育の円滑な運営には、(1)組織の積極的な支持を得て教育に関する情報を共有し、(2)教員の意識改革を図るために講習会を企画する必要がある、と提言されている。そこで、当初2~3年目に計画していたシンポジウムを2年目である平成23年度に実施する準備をした。具体的には国内医学領域においてプロフェッショナリズム教育に造詣の深い3氏を特別講師として招聘し、事例報告者を加えたシンポジウムを企画した。(開催は平成23年度春の予定)これにより、本研究の目的の一つでもあるプロフェッショナリズム教育担当者(医学教育を含む)との意見交換の場を作り、日本の歯学教育に必要なプロフェッショナリズム教育のカリキュラムを作成の素地を作る。
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