【C型肝疾患患者における歯牙疾患の治療意義】:2003年12月~2010年6月までに、ペグインターフェロン治療(併用を含む)目的のために久留米大学に入院したC型慢性肝炎ならびにC型肝硬変患者570名について、歯牙疾患が原因で治療を導入することができなかった症例を調査した。570名のうち6名が、根尖性歯周炎、辺縁性歯周炎、歯髄炎、智歯周囲炎等の歯牙疾患による急性感染によって導入できなかった。6名は、歯科治療終了後にIFN治療導入に成功したものの、平均61.3日遅延した(最高105日)。唾液分泌量を測定した531名のうち、10.2%にドライマウスを認めた。HCV感染者は、IFN治療前に歯牙疾患の感染源の治療が必要である(Nagao et al. Virol J2010;7:192)。 【分岐鎖アミノ酸(BCAA)・亜鉛含有栄養補助食品(アミノフィール^[○!R]が味覚に及ぼす影響】:BCAA・亜鉛含有栄養補助食品が肝疾患患者の味覚感度に及ぼす影響を検討した。対象は慢性肝疾患患者9名。同食品摂取前と90日摂取後の4味(甘・塩・酸・苦)について味覚定性・定量検査並びに生化学検査を実施した。味覚感度は、各味を6スケール(I・II・III・IV・V・VI)に分類し、I・II・IIIを標準感度、IV・V・VIを異常感度とした。1名のみが、味覚異常を自覚していたにもかかわらず、酸味では4名が、苦味では2名が味覚異常所見(他覚所見)を示した。同食品摂取により亜鉛値は有意に上昇(P=0.0209)、酸味感度は有意に改善(P=0.0313)、甘味感度も改善傾向を示した(P=0.0625)。本品(アミノフィール^[○!R])は、味覚異常者にとって有益なサプリメントになりうる(Nagao et al. Med Sci Monit 2010; 16: PI7-12)。
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