平成19年度に前向きコホート研究である「九州・沖縄母子保健研究」を開始し、1757名の妊婦がベースライン調査に参加した。平成19年度~24年度にかけて、順次、出生時、4ヶ月、1歳、2歳、3歳、4歳、5歳時追跡調査を開始した。 平成24年度末まで、4歳時追跡調査を実施した。4歳時追跡調査では、質問調査票により、生活環境、生活習慣、社会生活能力等に関する情報を詳細に得た。4歳時追跡調査のデータベースを作成している。また、幼児版食事摂取頻度調査票を用いて、対象幼児の栄養摂取状況の情報を得た。参加者には、栄養摂取状況に関する調査結果を返却した。 平成24年7月より、5歳時追跡調査を開始した。5歳時追跡調査では、質問調査票により、家庭内喫煙状況、保育状況、睡眠状況、テレビ視聴時間、運動習慣、食事習慣、歯科保健行動等、広範囲に子の情報を得ている。幼児版食事摂取頻度調査票を用いて、対象幼児の栄養摂取状況の情報も得ており、参加者には、子の栄養摂取状況に関する調査結果を返却している。 ベースライン調査及び4ヶ月時追跡調査の情報を活用して、母親の喫煙と歯周病との関連について解析した。その結果、能動喫煙と歯周病との間には有意な正の関連を認めた。一方、受動喫煙と歯周病との間には、統計学的に有意な関連は認めなかった。母親の唾液コチニン濃度と歯周病との関連についての解析では、コチニン濃度の上昇に伴って歯周病有症率は高まっており、両者の間には、有意な正の関連を認めた。VDR遺伝子多型と歯周病との関連の解析では、SNPrs731236のAA遺伝子型に比較して、GG遺伝子型で有意に歯周病のリスクが高まった。SNP rs7975232、rs1544410及びrs2228570とは関連がなかった。喫煙との交互作用を評価したところ、SNP rs7975232のみで喫煙との間に生物学的な交互作用が認められた。
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