研究課題
今年度は日米の比較を行う初期の準備段階として、"人間的メッセージ"を模索すべく、シンガポールにおいてコミュニケーション能力の基礎的データの収集を行った。シンガポールは国土が小さく、アジアの一国であるという日本と類似した特徴を持っているが、アメリカのように多種多様な人々がおり、日本と教育、ヘルスケア、商業貿易の領域において深い結びつきがある国である。その国において1)行動計画選択において起こしやすい状況判断の誤りと、2)個人及びグループによる行動計画の失敗への対処法についてデータ収集を行った。データ収集方法は、病院および地域社会における自然な状況の観察法とした。観察された最も重要で頻発する状況は、計画選択の承認と、反対意見に対する不満の表現であった。個人及びグループのレベルにおけるコミュニケーション参加者は、計画的決定の誤りに対し、直接的に不快感を表出していた。その逆もまた真実となり得た。また、個人およびグループはいずれも、行動計画選択の成功に対しては積極的に承認を表現していた。そこには、より活発な賞賛と、正しい計画的決定を行うことへの重大な社会的ニーズが表れていた。それらのデータと洞察はは、日米におけるテスト段階並びにこの研究の最終教育段階の適切なテストシナリオ作成に大変有用であった。また、10月27~29日にアムステルダムにおいて開催されたヘルスセクターの暴力に関する学会に参加し、ヘルスケアプロバイダーのコミュニケーション形態が、世界各地における保育の信頼性と相互関係の重要な部分における弱点を露呈しており、世界中のナースが前線のケアプロバイダーとして、プロバイダーと患者の信頼関係及び相互協力を築くというコミュニケーション問題に取り組んでいることを知った。この学会は現時点での看護コミュニケーション形態及び考え方を理解するうえで非常に重要であった。さらに、11月19日~22日JALT(日本語学教育学会)学会にも参加した。今年の学会テーマは「言語教育における創造性」であり、現在のヘルスケア教育のアプローチは、コミュニケーション能力発達の領域において、優れた効果を発揮していないことを知った。このことは、コミュニケーションにおける考え方を通して、優秀な看護学生を教育するための効果的なアプローチを決定する重要な要素となるであろう。