研究概要 |
本研究の目的は,看護学生が患者に行う「技」の実践(排泄・食事・移動介助)過程を通して、臨床看護技術の「技」「美」「快」の関連を明らかにすることである。平成22年度は,看護学生(看護師役の学生群6名,患者役の患者群3名)とベテラン看護師(以下,看護師群3名)を対象に,看護学実習室において生活援助3場面(排泄時,食事,移動時)を設定し,各場面での看護技術の「技」(手技,立ち振る舞い,言葉,手順,巧み,5項目),「美」(みごと,きれい,心身に良い,無駄がない,すばらしい,5項目)「快」(心地よい,違和感がない,楽である,苦痛がない,柔軟である,5項目)計15項目を,3場面の看護技術実施後に評価した。評価方法は,自己評価(学生群,看護師群)と他者評価(患者群,教員群)であり,評価基準は「全くそうだ」6点~「全くそうでない」1点の6段階評価である。その結果,実施者(学生群,看護師群)は評価者群(患者群・教員群)と比較して低値であり,患者群・教員群の評価は「技」「美」「快」の各項目で実施者群よりも有意に高値であった。特に,看護師実施群の教員群の評価は,患者群と比較して有意に高値であった。本結果の特徴は,客観的評価(患者群・教員群)は主観的評価(看護師群・学生群)よりも有意に高値であり,特に看護師群の実施状況を有意に高く評価していた。本結果から,学生の臨床看護学実習,学内演習などの看護技術教育は,ベテラン看護師による教育が有効であることを示していた。本結果を踏まえて,次年度は臨床において入院患者を対象に調査を依頼し,臨床で看護師ならびに看護学生の看護技術を実施し,患者から「技・美・快」の評価を得て,「技・美・快」の関連の分析を行っていく予定である。
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