本研究の目的は、看護系大学の基礎教育と卒業後の新人看護職の研修を連関し、継ぎ目がない看護職の臨地実践能力育成をめざした教育・研修プログラムを構築することである。平成22年度は、卒後1年目の臨床看護師と職場で新人指導を担当している看護師の協力を得て、看護実践能力尺度を用いて質問紙調査とグループインタビューを実施した。その結果から新人看護師の看護実践能力の実態と看護実践にどのような問題を抱えているのか、必要な研修などのニーズについて調査した。その結果、「患者への心理的な支援を適切に行えている」一方で「情報を多角的に収集し整理・統合して問題を発見すること」や「症状の緩和などに配慮しながら提供する援助を患者の個別性に合わせる」ことに課題があることが明らかとなった。また、自己の課題として感じていることは、《技術の不足》《知識の不足》《アセスメント力の不足》の3つで8割を超えていた。このような課題を持つ卒業生は自己の課題解決のために大学のキャリア支援を求めており、その内容は《技術やアセスメント力をつけるための研修会の開催》《自己研修のための環境》など、キャリアアップのための再学修の場・実践の改善を試みる場としての役割を期待していた。また、指導看護師が大学に期待することは、新人看護師の精神面の支援についてであった。本結果を教育と臨床現場のギャップを最小限にする方策の1つとし、今後の大学教育・キャリア支援に反映させつつ、引き続きプログラム構築をはかっていく。
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