本研究の目的は、看護系大学の基礎教育と卒業後の新人看護職の研修を連関し、継ぎ目がない看護職の臨地実践能力育成をめざした教育・研修プログラムを構築することである。まず、卒後1~2年目の臨床看護師の研修と職場で新人指導を担当している看護師のグループインタビューを実施した。その結果から新人看護師の看護実践能力の実態と看護実践にどのような問題を抱えているのか、研修プログラムの評価、今後に向けた研修のニーズについて調査した。昨年度明らかになった多くの新人が共通して抱えている課題は、「新しい就業環境、人間関係への適応」、「ストレスコントロール力」などであったことから、次に大学卒業後1,2年目の看護師を対象に「職場のメンタルヘルス」などの研修を行った。また、卒業後3年目は今後のキャリアをどのような方向ですすめていくのかを考えるきっかけとなるよう、専門看護師、認定看護師、国際協力などさまざまなキャリア開発を実践している方とのフォーラムを行った。その結果、講義や研修での振り返りを通して客観的に自己をみつめなおすきっかけができ、その後の就業意欲の復活、再学修の場・実践の改善を試みる場として研修の意義を高く評価していた。また、臨床における指導看護師が大学に期待することは、新人看護師の社会的スキルを含めた職場適応力や精神面の支援についてであった。本結果を教育と臨床現場のギャップを最小限にする方策の1つとし、今後の大学教育・キャリア支援に反映させつつ、卒業後3年目までは大学での研修体制も就業先と併行して充実させていくことが重要であることがわかった。
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