本研究の目的は、「看護教育における模擬患者養成プログラムの検証と支援するシステムの構築」であり、平成22年度は、1.看護教育と医学教育におけるSP体験の共通点および相違点から、看護教員における模擬患者の特徴を明確にすること、2.模擬患者のスキルアップと継続した活動を支援するためのプログラムを検討することを中心に研究をすすめてきた。1については、看護教育と医学教育で模擬患者の体験があるSP6名に半構成的質問紙を用いて、インタビューを実施した。現在、インタビューデータを分析しているところである。分析結果をもとに平成23年度は質問紙を作成し、看護教育と医学教育における模擬患者の体験の相違についてさらに明らかにしていく。これにより、看護教育においてSP活動を行う上での特徴を模擬患者に示すことができるとともに、教員にとっても模擬患者への協力を依頼する際の指針を示すことができる。 2.については、現在本学の模擬患者として活動をしている25名を対象とした定例学習会を開催した。学習会の回数は1回/2か月であり、実施時間は1回2時間であった。5月・7月・9月のプログラムの内容は、実際の授業やOSCE場面を録画した映像を視聴し、演技やフィードバックについて評価することである。11月は学部講師を招いて特別学習会を開催し、効果的なフィードバックに向けた演習を行った。12月以降は、OSCEに向けた練習を行った。学習会終了後のアンケートの結果、実施回数については全員が良いと答えており、8割のものが学習会は模擬患者としてのスキルアップに役立ったと答えていた。また、活動を継続するうえで、模擬患者同士の横のつながりや模擬患者の活動が新たな自分の発見につながるなど模擬患者自身のためになっていくことが、模擬患者が活動を継続するうえで重要な支援の視点であることが明らかになった。
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