研究課題/領域番号 |
22592381
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
内田 雅子 札幌市立大学, 看護学部, 教授 (60326494)
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キーワード | 人材育成 / ユニフィケーション / チームワーク / チーム・プロセス / 看護師 / 看護学部教員 |
研究概要 |
本研究の目的は、看護学部と病院の人材育成連携活動の長期的・組織的影響を評価する概念枠組みと評価指標を検討した上で効果的な継続教育プログラムを開発することである。平成23年度は、これまでの調査結果を踏まえて看護師個人の成果をチームの成果へと紡ぎ上げるプロセスと促進・阻害要因、及び個人・集団のメタ認知を活性化する教育方法について検討した。 これまでの3つの調査を統合した結果、人材育成連携活動により看護師個人の批判的思考力や自律性が向上することが示唆された。その一方で、看護師個人の成果が看護チームへと還元し難いことも確認された。したがって、看護の質改善は、看護師個人の看護実践能力に焦点化した研修だけでは達成困難であることが明らかとなった。看護は24時間を通して患者の生活と治療を支えるため、個々の看護実践能力の過不足をチームワークによって補完しあいながらその水準を維持・管理している。ところが、看護実践能力の継続教育は1対1の援助関係を前提に構成されたプログラムがほとんどであり、既存の看護チームを対象にしたプログラムは実施が難しいためか、ほとんどみられない。 そこで、チームメンバーの継続教育プログラムとしてSSMベースのアクションリサーチを検討した。これは、出来事が生起している現場で、研究者が問題状況にいるチームメンバーと共に協働して、研究者自身がある役割を担って状況そのものにかかわることによって、現場を変えていこうとするものである。この方法論の理解を深めるため専門家を招き、本研究者らと協力病院の看護管理者は講義を受けた。その上で、両者で現状の問題を共有し今後の計画について協議を行った。次年度は、協力病院の1病棟に対してSSMベースのアクションリサーチを実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
チームワークを育成する継続教育プログラムは、現場でチームを対象にすると業務の支障となるため問題が多いことから、実用的な教育方法を選択するまでに時間を要した。検討の上、選択したSSMベースのアクションリサーチは、協力病院の個人情報やプライバシーに触れるため、協力者の理解を得るまでに方法論や話し合いに時間を要した。さらに、本研究者らがこの研究方法に精通していないため、実施までにはさらに訓練等の時間が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、研究者らが現場で病棟スタッフと協働してチームワークに関する問題解決にあたる。このため、連携研究者自身も研究チームメンバーとして十分にコミュニケーションをとりながらデータ収集や介入に取り組む必要がある。さらに研究チームは、協力病院および病棟の看護管理者と話し合いながら、現場の業務を妨げないように研究を進めていく必要がある。研究代表者は、研究チームと協力病棟の看護チームを視野に入れて、相互の協力関係を維持・促進するようサポートしていく必要がある。
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