研究課題/領域番号 |
22592382
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
及川 正広 岩手県立大学, 看護学部, 助教 (60537009)
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研究分担者 |
武田 利明 公立大学法人岩手県立大学, 看護学部, 教授 (40305248)
平野 昭彦 公立大学法人岩手県立大学, 看護学部, 准教授 (30305255)
三浦 奈都子 公立大学法人岩手県立大学, 看護学部, 助教 (40347191)
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キーワード | 抗がん剤 / タキソテール / ナベルビン / 実験動物 |
研究概要 |
今年度は、タキソテール[○!R]とナベルビン[○!R]漏出時に行うステロイド局所皮下注射の有効性について、実験動物(ラット)を使用し実証的に検討を行った。タキソテール[○!R]とナベルビン[○!R]は、外来化学療法室に勤務する看護師らが治療時に違和感や疼痛、治療終了後に血管炎などの訴えが多い薬剤で、ステロイドの作用について実証的に検討して欲しいと話された薬剤であった。実験方法は前年度と同様に、実験動物(ラット)背部の皮膚組織2ヶ所に薬液を注入し漏出状態とした。さらに、漏出部の内1カ所に、ステロイドを周囲から中心に向け注入し、経日的に観察を行なった。その結果、タキソテール[○!R]では、ステロイド局所皮下注射を行った箇所が潰瘍化する所見があり、顕著な効果は期待できなかったが、ナベルビン[○!R]では、ステロイド局所皮下注射を行った箇所の皮膚傷害が軽症との知見を得た。今後は組織学的に傷害像を確認し、作用の検討を行っていく。 また、新たにエルプラット[○!R]投与後に、肉眼的には異常所見が見当たらないのだが、固定テープを剥がすだけで、激痛を訴えるなどの神経障害や、血管痛を訴えるなどの症状が確認されるため、組織内部においての所見を知り、看護ケアに活かしたいとの要望があり、現在、実験系を立ち上げ検討を行っている。 今年度は6つの学会で、これまで蓄積した血管傷害、ステロイド局所皮下注射の有効性、電法作用などの知見についての発表を行った。参加した看護師からは、「継承的に行われていたケアの見直しができた。」、「今後のケアの参考にしたい。」などの声が聞かれた。今後も臨床看護師からの疑問や知りたい内容についての検証を行って行きたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は病態動物モデルを使用しての実験的検討であったが、実際に病態動物モデルを使用し、タキソテール[○!R]やナベルビン[○!R]の漏出時のステロイド局所作用効果について検討を行った。実験から得た結果については、看護系学会での演題発表や交流セッション、神奈川県看護協会ニュースレター、岩手県内のがん化学療法認定看護師との交流会などの場で、臨床看護師との共有を図ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度も臨床看護師からの情報提供、文献検討、実験動物を使用しての実証的検証、学会などでの発表というプロセスを通して研究成果の共有を図った。看護師からも、日常業務の中での「知りたい」内容が年々増えてきており、今後も看護師の「知りたい内容」や「疑問点」などを実証的に検証していき、臨床でのケアに還元できるようにしたい。
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