研究課題/領域番号 |
22592383
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
原 玲子 宮城大学, 看護学部, 教授 (50457751)
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キーワード | キャリア開発システム / キャリアニーズ / キャリアラダー / 新人看護職員研修 / 職場定着意思 / 職務に対する満足 / 学習ニーズ / キャリア展望 |
研究概要 |
本研究の目的は、地域に根差した臨床看護師の育成をめざし、モデル病院との共同で、中小規模病院における「新人看護職員臨床研修と連動したキャリア開発システム」を構築することにある。モデル病院は、病床数199床、7:1入院基本料、看護職員185名である。 平成23年度は、看護職員のキャリアニーズの実態を明らかにすることを目的とし、22年度に行った看護管理者へのインタビューの結果得られた「新人看護職員の研修の実態と課題」から抽出された要素を組み入れて質問紙調査を行った。質問項目は、基本的属性として、経験年数、婚姻の有無、雇用形態、出身地、職業継続意思、職場定着意思の有無等を設定した。キャリアニーズとして、「職務に関する満足」「自己啓発意識」「高めたい看護技術」「学習ニーズ」「将来展望」を4段階評定で質問し、経験年数別、雇用形態別、婚姻状況別、職業継続意思・職場定着意思の有無別等で比較して、統計学的に解析した。また、「学習ニーズ」「将来展望」については、探索的因子分析を行い、職場継続意思への関連を分析した。 結果、学習ニーズとして、「リーダーシップ」「現代社会で求められる専門的看護」「次世代育成の看護」「医療安全」「個を尊重した医療経営」の5因子が、将来展望として、「マネジメント」「スペシャリスト」「病院外での仕事」の3因子が抽出された。学習ニーズに関しては、経験年数9年以下の看護師に、10年以上の看護師と比べ30項目中14項目について関心が高かった。職場定着意思に関係していた因子は、「リーダーシップ」と「現代社会で求められる専門的看護」への学習ニーズであった。臨時職員や既婚者も、自己啓発意識が高く、人材確保のための多様な雇用形態の導入の際は、労働時間等の検討に加え、勤務体系に応じた研修スタイル等を考慮する必要性が示唆された。組織内の職員のキャリア発達は、組織のニーズと職員のニーズとの関連性が重要になることから、キャリアパス作成のための有用な資料となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
キャリア開発システムの導入に向けて、平成23年の年度初めに看護職員のキャリアニーズを調査する予定であった。しかし、平成23年3月の東日本大震災を受けて、調査時期の実施が遅れ、それに平行して、キャリアシステムの内容の検討も年度末へとなり、やや、遅れ気味である。しかし、平成24年度3月にキャリアシステムの導入のための研修会を行い、新年度前半で、ラダーシステム導入の見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
看護職員へのキャリアニーズ調査の結果をまとめて、看護管理系の学会で報告する。 ニーズ調査と組織のニーズを検討して、システムの全体像をまとめ、キャリア開発システムをモデル病院に導入する。導入の経過、結果を受けて、キャリア開発システムのモデルを作成する。
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