本研究の目的は、地域に根差した臨床看護師の育成をめざし、モデル病院との共同で、中小規模病院における新人看護職員臨床研修体制と連動した「キャリア開発システム」を構築することにある。平成24年度は、平成22年度の新人看護師の指導に求められる能力と平成23年度実施の看護職員のキャリアニーズ調査で得られた結果を反映させて、継続教育プログラムを作成し、モデル病院(病床数199床、7:1入院基本料、看護職員140名)にキャリア開発ラダーシステムを導入した。 プログラムは、キャリア開発の構造として、レベルI~レベルVの5段階で構成した。レベルIは新人看護師を対象とし、レベルI、レベルII、レベルIIIの3段階を基礎コース、レベルIV、レベルVを専門コースとし、段階別に到達指標を作成した。各レベルにおいて、必須研修と共通研修を設け、研修内容や認定課題は、看護管理者が看護の質向上のために必要と考える研修と調査より得られた職員の学習ニーズと連動させ、ポイント制とした。また、専門コースは、「高度看護実践者の育成」「現任教育者の育成」「看護管理者の育成」の3コースで構成し、さらに、認定システム、研修ポイントシステム、認定委員会の役割規定等、システムについても具体的な流れを組み入れた。 モデル病院への導入後の評価を行いながら、中規模病院として共通に活用できるものに修正し、調査から得られた「看護現場において新人看護職員を指導するために求められる能力」「看護師のキャリアニーズと職場定着意思に影響する要因」の研究結果を第1部、「中規模急性期病院における看護師のキャリアラダーモデルプログラム」を第2部に編成し、製本して、東北地方を中心とした中規模病院に配信した。 本モデルプログラムは、看護師のキャリア発達を促進するキャリア開発ラダーとして、看護現場で、実践的に適応できる資料となり、看護職員の人材育成に有用である。
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