本研究は、日本の看護師が、看護学基礎教育を受けた後、臨床でどのように「看護師としての自律性」を発揮しているのか、新人時代からの経時的変化を(横断的調査で)追いながら、いわば、看護師としての社会化過程を、特に受けた教育課程との関連から解明しようとするものである。今回は、これまで調査した日本の「臨床看護師の自律性」の実態とその関連要因をもとに、(1)日本で看護学基礎教育を受けた後米国で上級資格を得て活躍しているJapanese Advanced Practice Nursesの自律性について上記調査と同様の質問紙による実態調査を行い、(2)彼らが考える「看護師の自律性」をインタビュー調査により質的に検討することで、日本の看護管理・看護教育への示唆を得ることを目的としている。平成22年度は、質問紙調査の対象者、米国在住日本人看護師の開拓に努めた。Japanese Advanced Practice Nurses of Americaのグループ主催者を通じて、そのメンバーに日本からメールにて依頼し、また、Registered Nurseを含めてsnowballサンプリングにて対象者開拓に努めた。その結果、了解の得られた15名の米国在住日本人看護師へAir Mailにて質問紙調査を実施し15名から回答を得た。さらに、日本へ一時帰国された対象者を含む米国在住日本人看護師4名へ質的記述研究(インタビュー調査)と米国の看護学教育課程実態調査の予備調査を行った。来年度以降も対象者の開拓に努め、質問紙調査とインタビュー本調査および米国の看護学教育課程実態調査を継続実施する。
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