【目的】本研究は、日本の「看護師の自律性」の実態をもとに、①日本で看護学基礎教育を受けた後米国で上級資格を得て活躍しているAdvanced Practice Nurses(以下APN)の自律性の実態調査を行い、②彼らが考える「看護師の自律性」を質的に検討することで、日本の看護管理・看護教育への示唆を得ることを目的とした。 【方法】米国在住日本人看護師(APNと Registered Nurse(以下RN))の中から、snowballサンプリングにて対象者を開拓し、質問紙調査およびインタビュー調査を実施した。 【結果】了解の得られた30名の米国在住日本人看護師(APNとRN)へAir Mailにて質問紙調査を実施し、25名から回答を得た。さらに、APN7名へのインタビュー調査を行い、また米国UCSFの看護学教育課程実態調査を行った。APNとRN25名への質問紙調査の結果、APNとRN間に差があるとは言えなかった。また、APN・RNの尺度得点は、日本の認定看護師より有為に高かったが(p<0.001)、専門看護師と差があるとは言えなかった。ただし、下位尺度の〔患者擁護〕(p<0.05)〔感情コントロール〕(p<0.01)は、日本の専門看護師よりAPN・RNの得点の方が有為に高かった。インタビューの結果から、APNは「自律性」をProfessional Autonomyと捉えており、その構成概念は、責任を伴う〔自己決定〕が中心概念であった。看護教育課程との関係では、APN大学院における「リーダーシップの講義」と関連付けて捉えていた。 【考察】日本の専門看護師とAPN・RNの得点に差があるとは言えなかったことから、日本と米国の看護職の果たす役割の違いを踏まえ(特にNPは診療の補助ではなく診療を行う)、今後、米国人APN・RNの自律得点を明らかにする必要があると考えられた。
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