本研究の目的は、脳血管障害患者の食事(摂食・嚥下)行動を支える体位保持方法について、実証データを得て援助方法の効果を実証し、これらをメカニズムとともに有効な援助方法として明らかにすることである。平成24年度(最終年)は、前年度検討、作成した食事体位保持プログラムを脳血管障害患者3名に許可を得て適用し、その有効性を検討した。プログラム実施者は当該研究者である。その結果、脳血管障害の部位にはよるものの、意識レベルII-10(JCS)でバイタルサインが概ね安定している患者であれば、発症後3日目には摂食・嚥下スクリーニング評価を行い、摂食機能療法開始し、ベッド上ヘッドアップ30°、45°、60°、車椅子座位60~90度へと行動拡大し、摂食・嚥下に有効な姿勢に調整・保持することで、発症後2週間のうちには、安全に食事を摂取することが可能になっていった。よって、食事体位保持プログラムを適用して摂食機能療法を行うことで、脳血管障害患者の食事摂取が安全に可能になったと言える。ただし、今回高次脳機能障害のある患者を含んでいない為、今後引き続き効果の検証を図りたい。 次に食事体位保持プログラムを普及するため、摂食・嚥下ケア等の研修会等で活用可能なDVD教材を作成した。このDVD教材については脳血管障害による摂食・嚥下機能の障害および長期臥床による廃用症候群予防を見据えた摂食・嚥下ケアとしての食事姿勢・体位保持の方法、留意点について、エビデンスも含めて紹介しているものである。本DVD教材作成にあたっては、摂食・嚥下ケアに詳しい者にみてもらい助言を得た。本研究期間にはかなわなかったが、2013年7月に医療職者対象の摂食・嚥下ケアの実技セミナーを企画しており、そこで公表する予定である。 最後に研究最終年として、摂食・嚥下の生理的メカニズムと姿勢・体位保持方法について整理し、報告書を作成した。
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