研究課題/領域番号 |
22592394
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
大津 廣子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (70269637)
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キーワード | 車椅子移乗介助 / 三次元動作分析 / 熟練看護教員 / 新人看護教員 / 演示 / 説明力 |
研究概要 |
昨年度の調査では、学内実習で演示を用いた教授方法を行い最も実施率が高かった技術項目は「車椅子移乗介助」であることが明らかになった。そこで、今年度は、「車椅子移乗介助」技術を演示により指導した経験がある看護教員15名の「車椅子移乗介助」技術を三次元動作分析システムを用いて分析するとともに、学習者に技術を指導する際の説明力、自分の実施した看護技術を振り返るリフレクションカを明らかにすることを目的に実施した。【被験者】研究目的、方法、研究参加の自由など依頼文書を用いて口頭で説明し同意の得られた看護教員15名。【データ収集】1.被験者の頭頂、左右の耳朶、肩峰、肘関節、手関節、手背中央、大転子、膝関節、外踝、母趾の19点にマーカーを貼付し、ギガネット画像入力システム(ライブラリー社)のカメラ6台で端座位の模擬患者に車椅子移乗介助の実施場面を撮影した。2.学生に対して演示している模擬場面時の「車椅子移乗介助」動作と説明内容をビデオカメラを用いて撮影・録音し、終了後半構成的面接を行った。【結果】対象者15名の平均年齢は46.6歳、看護教員の平均経験年数14.5年、基礎看護技術の平均授業担当年数は6.6年であった。熟練教員(看護教員経験年数35年、基礎看護技術授業担当年数15年)1名と新人教員(看護教員経験年数3年、基礎看護技術授業担当年須2年)1名の「車椅子移乗介助」動作をみると、介助時の最初の姿勢である構えの姿勢は、熟練教員(身長158cm、体重54.5kg)は体重心(床面からの重心の高さ)72.3cm、上半身角度45.6deg、腰部角度100.3deg、膝部角度120.5degであり、新人教員(身長160cm、体重50kg)は体重心78.2cm、上半身角度42.6deg、腰部角度106.deg、膝部角度156.9degであった。動作全体を通して新人教員は熟練教員よりも体重心が高く不安定な姿勢で介助していた。学生に対する演示時の説明内容をみると、熟練教員が実施前に「患者の状態説明」「事前の確認事項」「実施前の環境整備の必要性」について学生に説明しているが、新人教員にはその説明はなく、演示全体を通して、新人教員の説明内容は熟練教員よりも少ないことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的に応じたデータは収集できており、今後はデータを下記の視点から分析、解釈する予定である。 1.看護教員自身の「車椅子移乗介助」技術に対する自信の有無により、「車椅子移乗介助」動作に違いがみられるか。 2.看護教員経験年数により、「車椅子移乗介助」の演示の説明力、リフレクション力に違いがみられるか。
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今後の研究の推進方策 |
24年度は、厚生労働省が推進している「新人看護師研修」を実施している病院で、新人看護師を指導している実地指導者の「車椅子移乗介助」技術を、三次元動作分析システム、観察法および半構成的面接を用いて観察・調査、分析し臨床看護師の看護技術教育力を明らかにする。 25年度は、22年度から24年度の調査から得られた結果をもとに、看護技術を教える着護教員および臨床看護師の看護技術教育力向上プログラムの試案を作成する。
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