研究概要 |
患者との人間関係の成立のためのコミュニケーション技術の能力を育成していくことは重要な課題である.本研究は,看護実践としての新人看護職員のためのコミュニケーション技術実践プログラムを開発し,その有用性を検証することである.看護基礎教育における臨地実習に活用できるコミュニケーション技術,看護継続教育におけるがん患者とのコミュニケーション技術育成を目指す.看護師のコミュニケーション技術は,言語的コミュニケーションだけでなく,非言語的コミュニケーションを組合せて,看護技術の援助と共に実践しているのが特徴である.今年度は看護学生のコミュニケーション技術の能力を育成させる教育方略として,双方向学習教材(PF-NOTE)を活用して授業を展開しその教育評価を行った,調査時期は2010年6月,調査対象は1年生83名である.演習は入院時のコミュニケーションを2人一組で患者・看護師を体験し,相互にフィードバック,学生2組のロールプレイの見学,検査時のコミュニケーションの映像をよい点・悪い点をマーキング,振り返りシートに記載等で構成した.調査項目は学習目標の到達度,講義内容,演習の効果等である.演習の効果は自由記述を求めた.78名(回収率93.9%)から同意が得られ分析した.学習目標はほぼ到達しており,講義内容は将来に役立ち,新しい知識を得ていた.全員の学生が演習は効果的としており,記述内容の質的分析では,.「患者体験による患者の気持ちの理解」「患者・看護師役によるコミュニケーションの改善点」「自己のコミュニケーションの傾向の自覚」「患者役からのフィードバックによる振り返り」「他学生の演示による自己の不足点の気づき」「双方向教材を用いたコミュニケーションの客観的評価」「看護におけるコミュニケーション技法の重要性」のカテゴリーを抽出することができた.以上から,開発した教育プログラムは,他学生の演示や典型的な映像から自分の改善点や,患者・看護師役の体験とフィードバックから患者の気持ちを考える機会となり初学者に有効であることが示唆された.
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