研究課題/領域番号 |
22592401
|
研究機関 | 神戸市看護大学 |
研究代表者 |
グレッグ 美鈴 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (60326105)
|
研究分担者 |
脇坂 豊美 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 講師 (50315321)
林 千冬 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (60272267)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 新卒看護師 / 病棟社会化 / ストラテジー |
研究概要 |
本研究は、新卒看護師が病棟へ社会化すること(病棟社会化)を促す病棟で使えるストラテジーの開発を目的としている。平成24年度は、病棟における新卒看護師の教育の見直し、および病棟社会化を促す新たな教育方法を検討するために、急性期病院の1病棟で6回の研究ミーティングを行った。この病棟は昨年度の調査「労働環境の健全さや魅力、生産性を測定する質問紙」の8評価プロセスのうち5項目で高得点を取得し、2結果変数のうち専門的な仕事の満足度で高得点を取得した病棟であった。 ミーティングの焦点は、新卒看護師が病棟に融合する際にどのような困難を感じ、その困難を軽減するために役立つストラテジーを開発することであった。研究参加者は、病棟師長、2名の新卒看護師、病院の教育担当師長を含む延べ28名であった。研究ミーティングの記録を分析した結果、新卒看護師が経験する5つの困難と病院や病棟に関連する2つの課題が明らかとなった。新卒看護師の困難は、「臨床で学ぶ方法がわからない」「患者を総合的に見られない」「時間管理が困難である」「実践に関する自己評価が困難である」「患者に対する責任感が不十分である」であった。病院や病棟に関連する課題は、「指導者の指導方法が統一されていない」「集合研修と病棟での記録方法が一致しておらず新卒看護師が戸惑う」であった。これらの課題達成のために、病院は新卒看護師が受ける指導を統一するよう看護技術のソフトを用いることを決め、さらに指導方法を検討した。病棟では、新卒看護師の困難を克服するための1つの方法として、就職10ヶ月目に先輩看護師のシャドウイングを実施した。シャドウイングに関しては、新卒看護師と熟練看護師の組み合わせの工夫など今後の課題も明確になった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたような病棟における段階的オリエンテーションの導入は、人員配置の問題から実施困難であることがわかり、約1年間をかけた研究ミーティングの中で新卒看護師教育の新たな方法を模索することになった。その結果、ミーティングの中で提案された「気づきノートの活用」や「10ヶ月目のシャドウイング」などを実施した。 ストラテジー自体が予定した内容と異なること、1年間をかけて実施する予定がストラテジーの決定に時間を要したことから、実施時間が短くなっているという違いはあるが、病棟に相応しいストラテジーは実施できている。このため、研究はおおむね順調に進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、平成24年度に実施したストラテジーの評価を行う。研究ミーティングに参加した人を対象に評価のためのインタビューを計画している。インタビューを受けることを了承してくれる人の数はわからないが、自主的に研究ミーティングに参加してくれた看護師なので、インタビューの協力も比較的得やすいのではないかと思われる。したがって研究を遂行する上で大きな問題はないと考えている。
|