研究課題/領域番号 |
22592407
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研究機関 | 西南女学院大学 |
研究代表者 |
岩本 テルヨ 西南女学院大学, 保健福祉学部, 教授 (80285444)
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研究分担者 |
小田 日出子 西南女学院大学, 保健福祉学部, 教授 (30309992)
梶原 江美 西南女学院大学, 保健福祉学部, 講師 (00389488)
小野 聡子 西南女学院大学, 保健福祉学部, 助教 (20610702)
末光 順子 西南女学院大学, 保健福祉学部, 助手 (60593572)
田中 愛子 山口県立大学, 看護栄養学部, 教授 (10285447)
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キーワード | 看護師 / 看護ケア / やわらかい暴力 / 患者への対応 / 看護倫理 |
研究概要 |
平成23年度は引き続き、患者対象の「看護師の日常の看護ケアに潜む「やわらかい暴力」」の実態及び看護師対象の「患者との対応におけるやわらかい暴力の経験、患者との関わりをどのように考えているのか」に関して、それぞれ半構成的面接調査を実施した。調査は、西南女学院大学倫理審査委員会の承認を得て実施した。 まず、患者を対象とした面接調査は、乳がん患者、難病患者に実施した。面接内容は同意を得て全て録音し、逐語録を作成した。これで面接患者数は前年度の43名に加えて51名となった。調査結果は一部学会等で発表したが、さらに研究者らで質的分析中である。この中から、乳がん患者及びがん患者の分析結果を報告する。 乳がん患者(7名、平均年齢60.86±5.11歳)の認識した「傷つけられた、不愉快、良くないと感じた看護師の対応」として、【決めつける】【説明がない】【忘れられる】【不公平】【マニュアル的な対応】【気に入らない】の6カテゴリーを抽出した。これらは看護師が独善となり患者の痛みに配慮しない行為であり、「やわらかい暴力」と考えられる。 また、がん患者(14名、平均年齢62歳)が認識した看護師の対応は、【見守られ、思いを分かち合うことで生ずる心の安らぎ】【機械的で、節度がない言動が招く不愉快さ】【情報提供の少なさ】【看護師とのかかわりの希薄さ】【さまざまな患者に対応する困難さ】【労働・職場環境整備と教育の検討の必要性】【心理面の理解と前向きに生きるためのサポート】【気持ちが和らぐ雰囲気づくり】【気の持ちよう、こっちの対応次第】に分類された。乳がん及びがん患者の2つの分析結果には、共通するカテゴリーも見られ、今後さらに分析を進め、「やわらかい暴力」の実態を明らかにしていく予定である。 更に、看護師を対象とした面接調査は、認定看護師教育課程履修中の看護師16名に実施し、その結果を現在分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究計画は、看護師の日常の看護ケアに潜む「やわらかい暴力」の実態を明らかにする目的で患者及び看護師を対象に半構成的面接調査を行うこと及びそれらの分析結果を踏まえて看護師を対象にした質問紙調査をすることであった。患者及び看護師を対象の面接調査は終了したが、面接人数がそれぞれ51名、16名計67名となったため、質的な分析に多大な時間がかかり、現在も分析途上であり、質問紙調査が実施できていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策 1.面接調査結果の質的分析に平成24年度はさらに時間を取ること 2.看護師対象の質問紙調査の作成・実施については、教材の作成と並行して行い、データ入力等については外部に協力依頼する。 3.看護師対象の看護倫理教材の作成と評価の実施。実施を引き受けてくれる病院看護部を探すためにアンテナを張っておく
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