研究概要 |
平成22年度は、以下の2点について実施した。1.米国コロラド大学病院における倫理コンサルテーションに関する情報収集および意見交換:2010年12月、UNWERSITY OF COLORADO-ANSCHUTZ MEDICAL CAMPUS COLLEGE OF NURSING を訪問し、Research Nurse Scientist/Clinical Nurse Specialist(CNS),University of Colorado Hospital(UCH),member of UCH Ethics Board、Developmental Specialist and Interim Nurse Ethicist,The Children's Hospital(TCH)、Director,Arts and Humanities in Healthcare Program,AMC Center for Bioethics等6人の倫理に関する専門家と会い、臨床倫理コンサルテーションおよび倫理教育についての情報収集、意見交換を行った。倫理教育では、医学部・看護学部等の学生に合同で教育し、十分に準備された事例検討により、学生間で意見交換ができ、相互理解が深まるということであった。また、臨床では、倫理的に問題や悩みがある場合、コンサルテーションの委員に連絡することで、解決への支援が得られるシステムになっており、効果を上げていることがわかった。2.海外文献の収集および検討:「moral distress」「ethical」「nursing」をKey wordsに Pub Medで過去10年間の検索し、Full text 72件を分析した。内容は、看護師のmoral distressの経験について、調査したものがほとんどであった。研究方法は、インタビューによる質的なものと、moral distress scaleを用いた量的研究があった。小児、成人、精神、がん、終末期等のさまざまな分野で研究されており、看護師は、日常的に倫理的葛藤やmoral distressと向き合っていた。その背景には、役割の不明確化や看護師不足が影響していた。看護師がmoral distressを経験することは、看護師のburn outや離職につながる可能性があった。多くの医療・福祉専門職と協働する医療現場では、看護師のmoral distressを軽減するための支援が必要であることがわかった。
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